持続可能な開発目標(SDGs)やパリ協定が採択された2015年以降、気候変動や格差、人口減少などの社会的課題対応にむけて、投資家、金融機関、さらには金融当局等までもサステナブルファイナンス※1を推進する動きが加速しています。
わが国においてもこの重要性が高まっており、金融庁は2020年12月にサステナブルファイナンス有識者会議を設置し、サステナブルファイナンスを「持続可能な経済社会システムを支えるインフラ」として位置づけました※2 。
一方でグリーンウォッシュ問題への懸念が非常に増大しており、実際にサステナビリティへの取り組みが「見せかけの環境配慮」であったという指導事例さえも見られるようになっています。
こうした状況を受け、国際機関や日本国内の省庁が発行した原則や指針へ準拠し、当初の目的通りに実行されているかといった評価を実施することが透明性や公平性を証明する評価とされています。
SOCOTECでは外部レビュー機関としての評価を実施し、信頼性と質の高いサステナブルファイナンスの実現を支援します。
- ※1)サステナブルファイナンス:「持続可能な社会と地球を実現するための金融」と解釈されている、環境(E)・社会(S)、ガバナンス(G)課題の解決を目指し様々な配慮を織り込んだ投融資(ESG投資・ESG金融)、債券発行、その他幅広い金融サービスを含む広い概念。 つまり、持続可能な社会づくりを目指す資金の流れ。
- ※2)金融庁ホームページ「サステナブルファイナンスの取り組み」(https://www.fsa.go.jp/policy/sustainable-finance/index.html)
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参考:一般社団法人 全国銀行協会「はじめてのサステナブルファイナンス 金融の力で地球のピンチを救おう!」2ページ(pdf)
(https://www.zenginkyo.or.jp/fileadmin/res/education/material/sustainable-finance/book/sustainablefinance_book.pdf)
金融庁ホームページ「サステナブルファイナンスの取り組み」(https://www.fsa.go.jp/policy/sustainable-finance/index.html)
「ESG評価・データ提供機関に係る行動規範」への賛同
昨今、サステナビリティファイナンス市場が世界的に拡大する中で、企業のESGに関する取組み状況や、グリーンボンド等のESG関連債や融資の適格性等について情報収集・提供・評価を行う「ESG評価・データ提供機関」の重要性そして影響力が高まっています。
期待される役割が増す一方で、評価の透明性や公平性等、サービス提供のあり方については課題もあり、専門分科会の発足を経て、金融庁は2022年12月15日に「ESG評価・データ提供機関に係る⾏動規範」(以下、⾏動規範)を公表しました。
ソコテック・サーティフィケーション・ジャパン株式会社(以下、ソコテック)は、行動規範の趣旨にESG評価機関として賛同し、その制定を表明するとともに、原則、指針への対応状況をウェブサイトに公表しました。
ソコテックは、ESGファイナンスにおける外部レビュー機関として、社内規範に加えて⾦融庁が公表した⾏動規範を遵守し、独⽴性や透明性を確保して、グリーンファイナンス、サステナビリティファイナンス、資⾦使途不特定型のファイナンス等の評価を⾏っていきます。
⾏動規範に規定された各原則、各指針への対応状況については、以下のリンク先をご参照ください。
ESG 評価・データ提供機関に係る⾏動規範の賛同・制定について(PDF)
参考:金融庁ホームページ「ESG評価・データ提供機関に係る行動規範」(PDF)(https://www.fsa.go.jp/news/r4/singi/20221215/01.pdf )
SOCOTECのサービス
ソコテックは「グリーンファイナンスサポーターズ制度(環境省)」の外部レビュー機関として認定を受けています。
下記のサービスを実施致します。
SOCOTECの支援実績
- ① 2022年9月30日(ローン実行時の基準年排出量の検証)
- ② 2023年3月20日(ローン実行後の検証 1 回目)
- ③ 2024年3月21日(ローン実行後の検証 2 回目)
① 2022年のサステナビリティ・リンク・ローン実行における KPI,SPT として、Scope1,2 の排出量削減目標として中小企業 SBT の目標の承認とともに目標達成に向けた排出量削減を掲げている。 当社は「みずほサステナビリティ・リンク・ローン PRO」の契約において、借り手である北拓に対し 2050年まで毎年検証を行うこととなっている。 融資実行に際し、排出量削減の基準年となる 2021年9月期の排出量検証を行った。
② 融資実行後の一回目の検証として、2022年9月期の排出量検証を行った。
③ 融資実行後の二回目の検証として、2023年9月期の排出量検証を行った。
電気、気体燃料・液体燃料の専門性をもつ主任検証人がチームリーダーを務めており本検証における専門性を満たしている。
2023年10月4日(ローン実行後の検証 1回目)
2022 年のサステナビリティ・リンク・ローン実行における KPI として、再生可 能 エネルギー比率(「RE100」が掲げる目標の達成に準拠)とすること、SPT は 2023 年以降、2032 年の融資期間終了までの間、自社使用電力の再生可能エネルギー比率 100%を維持することとしている。当社は「みずほサステナビリティ・リンク・ローン PRO」の契約において、借り手である三菱地所・サイモンに対し再生可能エネルギー使用量および再生可能エ ネルギー電力比率について検証を行った。
電気、気体燃料・液体燃料の専門性をもつ主任検証人がチームリーダーを務めており本検証における専門性を満たしている。
2023年8月18日(ローン実行後の検証 1回目)
2022年9月に策定したサステナビリティ・リンク・ローン・フレームワークにおけるKPIとして 、Scope1,2 の CO2 排出量とすること、SPT は Scope1,2の2030年度における CO2排出量 50%削減としている。 当社はフレームワークに基づく「サステナビリティ・リンク・ローン」の契約において、借り手である九州旅客鉄道に対し 2023年3月期の Scope1,2 排出量について検証を行った。
電気、気体燃料・液体燃料の専門性をもつ主任検証人がチームリーダーを務めており本検証における専門性を満たしている。
2023年8月31日(ローン実行後の検証 1回目)
2022年のサステナビリティ・リンク・ローン実行におけるKPIとして、① 温室効果ガス(Scope1、2)総排出量削減率(2013年度比)及び② 売上高当たりの食品廃棄量削減率(2017 年度比)とし、SPT は① 温室効果ガス(Scope1、2)排出量を 2025 年度に 90%(2013 年度比)まで削減、2028 年度に 75%(2013 年度比)まで削減、2030 年度に 50%(2013 年度比)まで削減すること、② 売上高当たりの食品廃棄量を2025 年度に 55%(2017 年度比)まで削減、2028 年度に 51%(2017 年度比)まで削減、2030 年度に49%(2017 年度比)まで削減することとしている。当社は「三井住友信託銀行株式会社 PRO」の契約において、借り手である㈱ライフコーポレーションに対し温室効果ガス(Scope1、2)排出量および食品廃棄物発生量(発生量、再利用の実施量、廃棄物としての処分の実施量)について検証を行った。
電気、気体燃料・液体燃料の専門性をもつ主任検証人がチームリーダーを務めており本検証における専門性を満たしている。
2023年12月27日(ローン実行後の検証 1回目)
2022年のトランジション・リンク・ローン実行におけるKPIとして、グループ発電部門からのCO2排出量とすること、SPTは2030年度に50%以上削減(2013年度比)としている。当社は株式会社日本政策投資銀行の「トランジション・リンク・ローン」の契約において、借り手である北海道電力に対し2023年3月期のScope1排出量について検証を行った。
電気、気体燃料・液体燃料の専門性をもつ主任検証人がチームリーダーを務めており本検証における専門性を満たしている。
評価の流れ
契約
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1 サステナブルファイナンスの計画書の提出各種サステナブルファイナンスの基準に適合することを示した計画書等をご提出いただきます。
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2 利害関係調査、事前スクリーニング&御見積SOCOTEC では、評価対象企業をはじめ、プロジェクト共同実施者(出資者/貸主)等とSOCOTEC の間に、審査結果に影響を与えるような特別な利害関係がないことを、あらかじめ確認いたします。 その上で、サステナブルファイナンス計画書または、モニタリング報告書に記載された内容に基づき、必要工数を検討のうえ御見積を提示いたします。
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3 御見積の受諾御見積について承諾いただいた後、ご契約の手続きに入ります。
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4 契約締結紙原本への記名押印による締結だけでなく、電子契約による締結も承ります。
文書レビュー
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5 STEP1(文書レビュー)
契約締結後、各サステナブルファイナンスの原則、ガイドに従っていることを確認する為に必要な書類の送付を依頼します。
書類を受領後、リスクアプローチによる評価によって外部レビュー計画書を作成し、全体の外部レビューのプロセス計画、レビュー実施計画の作成のための必要情報、レビュー実施に備えた追加の証拠書類等をリスト化し、確認項目の整理をします。 -
6 STEP2(実地審査日程調整&審査計画書の提示)
実地審査(オフィス審査および必要に応じてプロジェクト現地審査)の日程を調整し、SOCOTECより以下の計画書類を提出します。
- 評価プロセス計画書:評価における保証水準、 評価チーム、レビュアー、評価の全体プロセスの計画を明記したもの。
- 実地評価計画書:現地審査日程、担当する評価チーム、評価内容、スケジュール等が明記されたもの。
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7 STEP3(実地審査)実地審査(オフィス審査および必要に応じてプロジェクト現地審査)を面談によるインタビュー、書類の確認、証拠書類の突合、ウォークスルー等を通して実施します。 実地審査で確認された指摘事項は、発見事項確認書にまとめ、修正、是正処置を勧告します。
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8 指摘対応発見事項確認書で指摘した内容に関して、是正要求、明確化要求のそれぞれの対応結果を確認します。レビュー依頼者の対応によって指摘事項がすべて解消するまでの期間は変わります。
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9 指摘対応各サステナブルファイナンスの原則、ガイドに従って適合性を評価した結果を最終的な報告書にまとめ、内部のテクニカルレビューおよびプロセスレビューを経て、レビュー依頼者へ報告書を提出します。
サステナビリティサービス事業 品質方針
ソコテック・サーティフィケーション・ジャパン株式会社は、GHG(温室効果ガス)の排出量・削減量、環境・社会・ガバンス等の非財務情報やサステナブルファイナンスに係わる審査・検証業務において、以下の活動の実践を通じて気候変動対応、持続可能な社会の実現に貢献します。
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1 「客観的で迅速かつ厳正な評価を実施する」第三者機関として中立性を第一とし、利害相反の回避を確実にすると共に、審査・検証業務について 業務に適用するGHG プロトコルをはじめとする国際規格、ならびに各種原則・基準等に基づき、 妥当性・完全性・一貫性・透明性・正確性を追求します。
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2 「審査・検証人および従業員の力量維持、向上による審査・検証業務の信頼性・透明性を確保」審査・検証結果の信頼性確保について、審査・検証人および当社の従業員の力量確保を第一と考え、 積極的な教育プログラムの策定、実践し、その有効性の評価を行うことに努めます。
ソコテック・サーティフィケーション・ジャパン株式会社
執行役員社長 二場 誠吾