ESG担当者たちの視点外部評価への取り組み

case:S&P Corporate Sustainability Assessment

ソコテックの支援を受けてS&PのCSAアンケートの評価を大幅に向上させた、
株式会社コジマ様のご担当者にお話を伺いました。

  • 澤田 樹枝
    株式会社コジマ
    執行役員
    経営企画本部 経営企画部
    サステナビリティ推進室長
  • 下山 優人
    株式会社コジマ
    経営企画本部 経営企画部
    サステナビリティ推進室 主任
  • 永井 満理子
    ソコテック・サーティフィケーション・ジャパン
    サステナビリティ・サービス部門
    ESGアセスメントグループ アシスタントマネージャー

企業様紹介

株式会社コジマ

1955年栃木県宇都宮市で創業した家電量販店。「くらし応援」を掲げ、お客様のお住まいの近くに店舗を構え、普段使いのお店として気軽にご利用頂ける店舗を目指している。ビックカメラグループの企業として、ビックカメラ流の品揃えの幅を活かすことにより取り扱い商品の充実を図り、更にコジマならではのミニ四駆大会や商品実演会などの楽しい企画も充実している。

コジマ店舗写真
CSAアンケートへの取り組み

まずは、CSAアンケートへの取り組みまでの経緯を教えていただけますか。

澤田様
最初はS&Pグローバルの日本のご担当の方からご連絡をいただいたことがきっかけでした。当社は東証プライム市場に上場しておりますので、サステナビリティに対する取り組みは責務であり、かつ取り組みを進めていく際には、世の中でどのようなことが重要視されるのかといったトレンドを把握した上で、当社だけの視点に偏ってしまうことがないようにしなければならないと考えておりました。 そういった点からも、グローバル市場のESG関連投資信託や指数(インデックス)が参照しているS&PのCSAに回答することは、当社のサステナビリティ経営の取り組みのレベルを向上させ、成長につながるものだと期待を致しました。

実際に回答されて、
社内外への影響などはありましたか。

澤田様
回答に取り組んだことで、世の中からどういうことが求められているのかを理解することができました。これに伴い、私たちが起こすアクションについて、世の中の要求からずれていないかという視点で俯瞰することができるようになり、内容の充実を図ることにつながりました。 これらのことをきっかけとして、社内でもサステナビリティに関する取り組みについて、より横断的に話ができるようになったことも非常に大きなポイントだと感じています。
永 井
回答に際しては社内の様々な部署の方に、例えば人事や総務の方にも色々とお話を聞かれたと思うのですが、皆さん最初はどのような反応でしたか。
澤田様写真
下山様
今回、回答に取り組むことでまず私たち自身が、なぜ開示する必要があるのかということについて認識をすることができ、弊社の取り組みや開示内容に自信が持てるようになりました。他の部署へも世の中から求められているということについて自信を持って伝えられたことで、皆本質的な意味を理解してくれるようになり、サステナビリティに向けた取り組みへの動機付けにつながったと感じています。
永 井
サステナビリティの担当部署では重要性を理解していたとしても、他部署からはなかなか理解されにくいということも耳にしますので、皆さんがサステナビリティ部門の中ではもちろんのこと、他部署の方も一様に必要性と重要性を理解されているという土壌が素晴らしいと思います。

外部からの支援を検討された経緯と、最終的になぜソコテックを
選んでいただいたかについて伺ってもよろしいでしょうか。

澤田様
CSAのアンケートはすべて英語対応であり、質問の意図を理解した上での回答に難しさを感じたことから外部の支援を検討しました。検討にあたっては、私たちは“これから”というステージでしたので、当社の状況を理解してくれた上で寄り添っていただけるかを重要視しました。この点において、ソコテックの提案内容が最も合致していると感じました。スケジュール感も含めて私たちがお願いしたい事柄に対してコーディネートしていただけたと思います。
永 井
提案としましては、質問書の要件定義など解釈の説明に限らず、御社の開示情報の改善提案、それが今年対応できるのか来期以降の課題とするのかの切り分けサポート、実務的なところでは英訳や回答登録の代行も含めさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか。
下山様
全部英語での回答だったこともあり、お願いして良かったと思います。
また、インデックスへの採用を目的として取り組んだところもありましたが、外部からどのような影響があるのか見えづらさもありました。先日の決算発表(2024年8月期第三四半期)も株価に良い影響を与えているのではないかと思うのですが、今回の取り組みもその下支えになってくれればと思っています。

ソコテックに支援を依頼して良かった点について、忖度なく伺えますか。

下山様
回答を進めていく中で、こちらからの投げかけや考えに対して、率直に、それは違います、と言ってくれたことです。方向を見誤ることにもつながりかねませんので、違うことは違うと言っていただいて、なおかつ事例を基に、こうした方が良いのでは、と示していただいたことについては本当に良かったと思っています。 私たちの足りない部分と、むしろこれは合っていた、間違っていなかったという部分に気付けたことも、レベルアップにつながったと感じます。
永 井
確かにディスカッションの中で具体的に色々な意見や提案がなされていた印象がありまして、それはやはり今回のプロジェクトに役員の方が参加されていたことも大きかったのではないかと思います。全社にわたってサステナビリティの重要性と必要性を理解されている方がいらっしゃると色々な引き出しがあり、様々な提案が生まれてくるということが随所で感じられました。かなりのスピード感で解答を作り上げた印象ですが、短期間での得点アップの一番の要因はこの点ではないかと感じています。今回のプロジェクトに役員の方が入られたというのは当初から決められていたことなのでしょうか。
下山様
はい。社長が全社をあげてサステナビリティ経営を進めていく、ということを掲げていましたし、人事や総務の分野などCSAはやはり対応範囲が幅広いですから、サステナビリティの担当役員がプロジェクトに加入することで経営戦略への紐付けや色々な人を巻き込みやすくなるということを目指していました。また、何より担当役員自身に“サステナビリティに関する取り組みや開示内容を正しくしていきたい”という想いもありましたので。
永 井
ディスカッションでは、質問を読み込むところから始めて皆で頭を寄せ合い、合宿さながらの様子でベストな回答を探っていった感がありますが、ミーティングの時間が長く感じられたりしたということはありませんでしたか。
下山様
大変ではありましたが、あのくらいの時間を使って進めないと無理だったのではないでしょうか。
澤田様
質問の意図を理解せずに回答のみを作っていただくだけだと、自分たちの力にはなっていかないと思いましたので、しっかりと意図を理解した上で、各部門に対してもっとこうしていきましょう、ということを伝えられるようになるためにも必要な時間だったと思います。
下山様
それとミーティング時に、ソコテックの方々が弊社の内容をかなり調べていらっしゃったことがよく分かりました。自分たちが認識していなかったことについて、ここにこういった記述がありましたよ、と言われ、我々をよく知っていただいているということをすごく感じました。
永 井
御社のことを理解するという点については、かなり力を入れました。良い意味で検討すべき項目がかなり多かったですので。 ミーティングでは毎回多くの課題が出ましたし、ミーティング以外でもかなりプロジェクト内で打ち合わせされたのではないかと思います。
下山様写真

ソコテックの支援によって改善や
今後につながるようなことがありましたでしょうか。

下山様
なぜこれを開示する必要があるのかという理由を私たちが本質的に知ることができたというところがまず良かったところで、取り組みや開示の内容に自信が持てるようになりました。例えば、当社が開示している情報にあいまいな部分があり担当部署に修正を依頼する際にも、その業務の本質的な意味を詳細に伝えることができるようになったことで、担当部署も納得感を持って進めてくれるようになりました。社内でサステナビリティに関する取り組みを進めていくことに対して、より協力が得られるようになったことが大きな改善点だと思います。
永 井
人事や総務の方、また取締役の方々が進めてくださったということで、今年はこの流れでさらにご協力いただけそうな環境なんでしょうか。
下山様
そうですね、そういう土壌はできていると思っています。
あとは有価証券報告書の方でも色々と開示要求が出て来ているのですが、CSAやCDPに対応していることで、その準備も進めやすいのではないかと感じています。
永 井
S&Pはとにかくエビデンスが重要視されますので、エビデンスがない、あるいはエビデンスを提示していても評価者(アナリスト)によって認められなかった場合、結果に影響してきますので本当に真剣勝負だと思います。
今回あまり評価されていなかった項目についても、1から見直すということも必要ですね。
澤田様
そういった視点で理解をした上で取り組まないと評価につながらない、小手先だけではどうにもならないということが分かりました。
永 井
回答の提出がひと通り終わった際に来期の課題についてのミーティングを入れさせていただきましたが、あの時間はどうでしたか。
下山様
結構膨大な量を回答して整理がなかなか難しいところもありましたので、要領よくまとめていただいたことは非常にありがたいと思いました。
澤田様
実際質問を受けたり回答を考えたりと、短い時間でプロジェクトメンバーが急成長したと担当役員からも言われました。
私たち自身も、フィードバックを受けてディスカッションができるほどに成長したと感じられ、取り組みに対しての見方が少し違ってきたという印象を持ちました。
永 井
スコアが出た後にそのスコアに対しての振り返りも行いましたが、そちらはいかがでしたか。
下山様
実施して良かったと思います。プロジェクトの最初に質問の意図をよく知るというフェーズがありましたが、その発想と同じだと思うんです。結果を受けて、他社と当社で違っているところに改善の余地があるのかどうかについて、認識ができるようになりました。
永 井
そうですね。S&Pは採点基準を明確にしていないこともありスコアが出て初めて分かることもありますから、どの項目が評価されてどの項目が評価されなかったのかについては、評価結果を見ないと分からないところがありますね。
澤田様
改善できるものと取り組みから考え直さなければならないということを、明確に理解する必要なステップだと感じました。
CSAアンケートへの取り組み

これからの目標も聞かせていただいてもよろしいでしょうか。

澤田様
社内でサステナビリティ経営の重要性を十分に意識することと、やはりそれを自分たちの事業活動に連動させることというところですね。それを多くの方々に向けて分かりやすく開示していくということをさらに進めていきたいと考えています。 事業活動と連動させないと長続きしないと考えていますので、取り組みのレベルアップとともに、分かりやすい開示で当社の企業価値の向上につなげていきたいと考えています。
永 井
事業活動との連動。簡単ではないですよね。具体的な取り組みとして既にお考えはありますか。
下山様
CO2排出量が少ない製品の販売というところが大きなポイントでもありますので、その算定を行うことですね。
永 井
なるほど、ディスカッションの中でも販売する製品の環境価値に関するお話がありましたが、現状その点が消費者に第一に求められているかというと、そういうわけでもないと思われます。CO2排出量が、その製品の環境価値を消費者に伝えるための重要な情報となるかもしれませんね。
澤田様
接客力という部分を強化していますので、それに合わせてやはり高単価の商品が売れていることが、そういうところに少しずつつながっていくのではないかと考えています。
永 井
ありがとうございます。最後に、弊社に対してのご意見やご感想がおありでしたら伺えますか。
澤田様
今回のように外部に依頼するにあたっては、もちろんプロフェッショナルな知識があることが前提になるとは思いますが、さらに何かを説明する時にはその何倍もの知識があって初めて相手のレベルに合わせた対応ができると思っています。今回、当社の現状やレベルに合った対応をしていただいた、そのことを強く感じました。 御社にお願いして一番良かった点は、私たちがとても成長できたということだと思います。これもやはり私たちのレベルに寄り添ってくれたからこそだと思っています。
今後もこのスタンスでお付き合いいただければと思っています。
永 井
ありがとうございます。本日はお話を伺うことができて良かったです。

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