経済産業省「第1回排出量取引制度小委員会」において、排出枠の価格形成を促し、削減インセンティブを確保する観点から、クレジットの使用上限を設ける案について協議なされました。カーボンクレジットは制度対象外の主体による排出削減や除去・吸収の先行的な取り組みを評価する手段として重要視される一方、排出枠の需給に影響を与え、価格形成を妨げる懸念も指摘されています。
諸外国では、制度対象者によるクレジット使用量に上限を設けることで需給の安定を図っており、EUでは制度のフェーズごとに使用制限を強化、米国カリフォルニア州や韓国でも、償却量に対する使用割合を段階的に引き下げています。日本でもこれら諸外国の事例を参考に、実排出量の10%を上限とする案が検討されています。
制度開始後も需給への影響を継続的に点検し、必要に応じて上限の見直しを行う方針が立てられています。使用可能なクレジットはJ-クレジットおよびJCMクレジットに限定され、JCMについては発行日などの要件を満たす必要があります。
また、EU-ETSでは過去に安価な外部クレジットの大量使用により排出枠の余剰が発生した事例もあり、日本は同様の事態を避けるべく制度設計を慎重に進めています。J-クレジットの創出量は年間100〜150万トンで推移しており、近年は森林クレジットの拡大により増加傾向にあります。
その他、対象となった「二国間クレジット制度(JCM)」に対し、取引環境の整備を求める意見や、産業のリーケージを懸念する意見が見受けられました。
ソコテックでは、引き続きクレジット制度をはじめとする環境を取り巻く潮流について注視していきます。